『日本語は楽しいこと。』その気持ちを大切に。

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イギリスで日本語学習をしていく一つの大きな目標にもなっているGCSE日本語受験。今年もKazahanaから多くの生徒さんがチャレンジし、ハイスコアでグレード9を獲得しました。

今回お話を伺うLさん親子は、学校内ではなく外部機関で個人申し込みをされてYear10でGCSEの日本語を受験、見事な結果を残しました。全く未知の世界だったというGCSE受験について、そして『日本語はしなければいけないものではなく、楽しむもの』になるまでの日本語教育の道のりについてお話を聞きました。

受験者DATA Lさん
◆受験年 2025年
◆受験年齢 14歳 (YEAR10)
◆日本語学習歴 補習校 小学1年生~中学3年生【現在】/漢字検定6級 /オンラインレッスン
◆GCSEスコア グレード9

目次

1.日本語教育の道のり

(1)幼少期~小学生まで

ー最初の日本語教育は、どのように始められましたか。また心がけていたことなどありますか。

はっきりとは覚えていませんが、初めから常に日本語で話しかけるようにはしていました。そして1歳くらいから私が読み聞かせをする時は日本語の本を読んでいました。また、しまじろう(こどもチャレンジ)やアンパンマンのDVDも日本語に興味を持たせるのに役に立ったと思います。

一番最初の日本語教育は、日本語で話しかけること、そして『こどもちゃれんじ』を始めていた方がとても多いですね。
私自身、子どもが0歳の時から『こどもちゃれんじBaby』を始め、小学3年生まで続けました。老舗だけあって、こどもの心をぐっとつかむ、よく考えられた教材で、本当におススメです。

就学前には、補習校の入学試験のためにアンパンマンのひらがなカルタを使ったり、何度も直に書くことができる、公文が出しているひらがなの練習カードで、ホワイトマーカーを使ってなぞり書きの練習をしていました。そのおかげで入学前に自分の名前は書けるようになりました。

―英語と日本語はどのように発達し始めましたか。

2ヶ国語で話しかけると、1ヶ国語の子より、頭が混乱して話し出すのが遅い場合が多いと聞いていたのですが、やはり例にもれず、うちの子も多少発語は遅かったように思います。

そして、私が日本語で話しかけていたにもかかわらず、3歳くらいまでは英語の方が強かったですね。3歳で日本に里帰りした時は、急に英語から日本語漬けの生活になり、混乱したのか、飽和状態になったからなのか、言いたいことを日本語で言えなかったからか、何回か爆発してしまったこともありました(苦笑)。それでも諦めずに日本語で話しかけ、日本語の教材を見せていました

―小学生になってからは、どのように日本語学習を続けられましたか。

小学1年生から補習校に入り、現在中3まで続けており、今9年目になります。現地校に日本人または日本人の親が全くいなかったので、日本語を話す機会は補習校と私と話す時のみでしたが、割と、日本語で話しかけると日本語で返してくれていたように思います。

小学4年生ぐらいまでは質問の意味自体がわからないこともあったので、つきっきりで『ここにヒントがあるんだよ』とか言葉の意味の説明をしながら一緒に宿題をしていました。

低学年あたりから、日本語の本を宿題以外でほとんど読んでくれなくなりました。それなので本の代わりに小学館の図鑑NEOでその当時興味があった恐竜のDVDを観たりして、とりあえず日本語に接する時間は作っていました

この小学館のNEOシリーズ。写真がとてもリアルで私の息子も大好きでした。うちには『恐竜』と『危険生物』があります!

―その頃、日本語学習を続けるモチベーションをどのように高めていましたか?

あまり日本語を勉強することを強制すると逆効果かなと思っていたので、補習校の宿題だけはやらせていましたが、それ以外はあまり深くは考えずに、私が日本語で話しかけることだけは続けていました。

それでも『日本語ができると日本に行った時にみんなと会話できて楽しいよね?』『メニューとか看板も読めたら、日本でも困らないよね?』となんとなく洗脳(?)のように言い聞かせてみたりはしていましたね。

日本に帰省した時には、祖父母や従姉妹との会話は日本語だけ、実家にある私が読んでいた日本語の本を読んだりして、その期間は日本語にどっぷり浸かる時間でした。また、中学年〜高学年の頃は日本にいる同年代の従姉妹とFacetimeでやりとりしながらSWITCHのオンラインゲームをしたりして、遊びや生活の中で、日本語で会話する機会があったのはよかったと思います。

従姉妹とは、去年、温泉に行った時に『どらえもんの日本旅行ゲーム』で盛り上がったのですが、彼女たちと話すことで今どきの言葉もたくさん覚えたし、みんなが容赦なく早口で話す中でちょっと難しいことにもチャレンジしないといけない環境にあったことで、日本語力が鍛えられたという面もあると思います。

また一時期、漢字が面白いと言い出した時があり、自分自身で興味をもったことだったし、補習校でちょうど漢字検定が受けられたので挑戦してみることにしました。日本にいる間も、私の父が一生懸命教えてくれて、6級に合格できました。

漢字検定にチャレンジしてみるのもいい勉強になりますね!
海外からも受験できるところがあるので、ぜひ記事を参考にしてみてください。

(2)中学生からの日本語学習

―中学生になってからは、どのように日本語学習を続けていますか?

中学生になってからは、補習校も本人の意思で続けているので、宿題も小学校高学年ぐらいから本人任せでわたしは特に何もしていません。たまに『これはどういう意味?』と聞かれた時だけ答えるくらいです。高学年あたりから、日本語で話しかけると英語で返ってくるというのが増えた気がしますが、私は気にせず日本語でがんがん話しかけていますね。

だんだん日本語で答えるのがめんどうになってくる、というのはよく聴きますね。日本語の単語に置き換えることができるように、現地語で言った言葉を、お母さん、お父さんが日本語で言い直してあげると少しずつ語彙も増えてくると思います。

―海外にいて日本語学習をする中で難しかったのはどんなところですか。

日本にいれば、勉強しなくても、自然に耳にしたり、使ったりしている言葉が、こちらでは生活の中で全く出てくる機会がないので、教科書や本で出てきても何のことを言ってるのか、全く想像つかないということがよくありました。

例えば、最近の宿題の感想文用に読んだ本の中に出てきたお袋(袋だけに、エコバックだと思ったとか)、オヤジ、爆睡などの言葉はわからなかったようです。これは仕方ないことだとは思うのですが、なおさら本を読んで語彙を増やすことは大切なのだなと思います。

それから、皆さん同じだと思いますが、やはり現地校と補習校の勉強の両立、時間の配分が大変でした。それでも補習校をやめてしまえば、今は宿題だからと無理にでもやっていることをやらなくなる=全く日本語勉強する機会がなくなってしまいます。そうなってしまうのはせっかく小1から続けているのにもったいないので、頑張りました。

子ども自身が日本の食べ物、文化などに興味があり、日本語を学ぶことに拒否感がなかったのも、ここまで続けてこれた要因かなと思います。

(3)GCSE受験に向けた学習

―補習校と並行して、KAZAHANAオンラインレッスンも9月から受講されましたが、そのきっかけと、実際にレッスンを受けてみた感想をお聞かせください。

オンラインレッスンは補習校のクラスのママが紹介してくれたのがきっかけです。補習校に通わせていたのは、GCSE受験が最終目標というわけではなく、ただ週一回でも日本語に触れる環境を作りたかったのと、子ども自身もお友達と会えることやイベントが楽しかったからです。


そのためGCSEの日本語はなんとなくまあ取れれば取れたらいいなぐらいの気持ちでいたのですが、学年が上がっていくにつれGCSEの話をよく聞くようになり、せっかく日本語の勉強を続けているのだから、GCSEを受けるのもいいかもと思えてきました。ただGCSE日本語の試験は本当に未知の世界だったので、それに特化したレッスンがあるのならぜひ受けさせたいと思い、受講を決めました。

MASAKO先生のレッスンは説明もわかりやすく、声のトーンも聞きやすく、日本語が母国語ではない子供にもわかりやすかったと思います。オンラインレッスンを受講したことによって、本番はどういう感じなのかという対策を学ぶことができ、慌てずに本番に臨めたと思います。

―今回、GCSEをYear10で受験するにあたって、学校ではなく外部で個人受験されましたが、大変だったのはどのようなことですか。

現地校で受験ができると思っていたのですが、なかなか返事がこず、結局Y10では受験ができないということがわかり、12月頃から外部の試験会場を探しました。個人受験だったので、会場となるカレッジに連絡を頻繁にとって確認したり、試験の3日間、現地校を遅刻して出向くのは大変でした。また、スピーキング当日に先方の不手際でスピーカーの先生が現れず、その日は試験ができず翌日に出直しになったり、色々予期せぬハプニングもありました。今は終わってみて本当にホッとしたというのが実感です。

今年度は特に、これまで若干の受験生を受け入れていたロンドンの英国国際研究所の試験会場がなかったので、外部受験の皆さんは受け入れ先を探すのに苦労したようです。早めに情報収集をするとよいですね。

―大変なことを乗り越えて、見事『9』を獲得しましたね!実際にGCSE日本語を受験してみた感想は?

実際、子どもがどのくらいのレベルなのかよくわかっていなかったので、9を取れて本当によかったなと思いました。本人にとっても9を取れたのは自信にもつながったような気がしますし、諦めないで、頑張っていれば結果はついてくるという実感もあったのではないかと思います。

(4)これまでの日本語教育を振り返って

―ここまで日本語教育を続けてきてよかったと思うことは、どんなことでしょうか。

子供に日本語を習得させようと思ったきっかけは、私自身が家族の中で母国語の微妙なニュアンスで話が通じる相手がいないのは寂しいなと思う自分勝手な理由でしたが、日本語学習を続けていく中で、日本語ができれば世界が広がるし、将来色々な意味で選択肢も増えるなと思うようになりました。

―海外で日本語学習を続けていくコツ、ヒントはありますか?

日本語教育を海外で続けることは本当に親子共々大変なことです。子どもが反抗期になったり、親が忙しかったりで、補習校の宿題の時間が取れなかったりすることも多々あるし、小さいうちは特に親の助けが必要なことも多いですから。

それでもとりあえず何か子供が日本のことに興味を示したら、無理強いせずに、それに関する情報を与えたりして、興味を広げていったり、ゆくゆくは日本語勉強に結びつけばいい、くらいの気楽な気持ちで接してもいいと思います。ただ、本人が続けたくないと言った時は、もうしょうがないのかなと思います。自分が続けたいと思わずに、親にやらせられていると思うと、なかなかモチベーションも上がらないので、最終的には自主性に任せないとダメなのかなと思いますね。

だからこそ、『自分で日本語を勉強したいと思う』方向に持って行くのが大事なのではないでしょうか。

今振り返ってみると、日本語話者の親が日本語で常に話すことは大切だと思っています。発語が多少遅かったとしても、住んでいる国の言葉は学校に行けば喋らざるを得ないので、習得に心配はありません。次第に現地語で話す方が楽になってくるので、どうしても返事が現地語になりがちですが、それでも諦めずに日本語で話し続けることです。

どんなに頑張っていても、親自身も挫けそうになることがありますが、私の場合は補習校のママたちと似たような環境での悩みや情報を共有できて、ありがたかったです。やはり悩みを打ち明けられる人がそばにいるとまた頑張ろうと思えるので、そういう環境も大切だなと思います。

どうもありがとうございました。私自身もそうですが、孤独になりがちな海外子育て、一緒に頑張る日本人パパ、ママの存在はなによりも強い味方ですよね。

2.GCSEでグレード9!今の気持ちとこれまでを振り返って。

次にLさんご本人にインタビューです。

― GCSEで『グレード9』の結果が出ましたね!今の気持ちはどうですか。

すごく嬉しいです。この結果に満足です!ホッとしました。

―これまで GCSEのためにどんな勉強をしましたか

補習校での勉強と、オンラインレッスンでは過去問題をやったり、問題の傾向や、どう答えたらよいかのアドバイスをMASAKO先生からもらって、勉強していたので、本番でも慌てずに臨むことができました。オンラインレッスンではロールプレイの練習が面白かったです。レッスンの最後には、日本の曲紹介があったりして、飽きずにできたところも楽しかったです。

―補習校を長く続けていますが、どうやって現地校の勉強と両立できたのですか。

勉強する時間をそれぞれに決めたことです。週末は現地校の宿題、月曜から金曜は補習校の宿題を毎日少しずつやることにしています。どっちみち宿題は毎週提出しなければならないものなので、なるべく決まった時間で終わらせた方がいいので、そうしています。僕にとっては日本語はやらなければいけないことではなくて、楽しいことなので続けてこれたのかなと思います。

―そのほか、どんなことが日本語の勉強に役立つと思いますか

例えば『ゴースト・オブ・ツシマ』のゲームは昔のサムライ言葉や、日本文化の勉強にもなるし、僕は音楽が大好きなので、日本の音楽を聴くことも役に立つと思います。

―日本語を勉強していてよかったと思うのは、どんな時ですか。

日本語で日本の家族と会話ができる時です。

―日本のどんなところが好きですか。

食べ物がすごくおいしくて、色々な種類があって安いところと、ロボットやテクノロジーが発達している文化も面白いところです。

―あなたの好きな日本語は何ですか。

『一生懸命』

―将来、日本語のスキルをどんなことに使いたいと思いますか。またこれから日本のどんなことを知りたい、勉強したいと思いますか。

仕事や、日本人と会話する時に使いたいです。またアニメやゲームなどを本当の意味で理解しようと思ったら、日本語ができることは大切だと思います。日本では、今まで行ったことがないところにたくさん行ってみたいです。

―今、日本語をがんばって勉強している方へ、メッセージをお願いします。

難しくても絶対に諦めないで、頑張れば努力した分結果はついてくるので、頑張ってください。

MASAKO

無理強いするのではなく、日本語に興味を持ってもらう、楽しんでもらうといった『自分から日本語を学びたいと思う』環境づくりをしたお母様と、それに応えて『日本語はやらなければいけないことではなく、楽しいこと』になったLさん。日本語教育のゴールはお子さん本人がそういう気持ちになってくれることだなと改めて思いました。グレード9おめでとうございます!そしてこれからも日本語を楽しんでいってくださいね

2026年度 GCSEスケジュール

2026年4月16日~5月21日 Speaking (Paper2)※この期間に各自で行う。

          ※Speaking Windowについてのお知らせはこちら

2026年6月1日(月) Listening and Understanding (Paper1)
         Reading and Understanding(Paper3)
2026年6月9日(火) Writing (Paper 4)

※変更等の場合もありますので、最新情報は随時こちらのホームページをご確認ください。

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