海外で継承語である日本語を、「どの程度」「いつまで」学習し続けるかというのは、海外に住むマルチリンガルの家庭には大きな選択です。そのようななか、イギリスのGCSEでは、1つの語学科目として日本語のスコアが認められるため、目標一つとしてその受験をモチベーションにがんばっているお子さんも多いのではないでしょうか。
2022年度はKAZAHANA オンラインレッスンからも2名の生徒さんが13歳でチャレンジしました。今回は最高グレード9を獲得したMさん親子にGCSEのこと、日本語教育のこと、バイリンガル育児についてお話を伺いました。
まずはMさん本人のインタビューをお読みください。
受験者DATA Mさん
◆受験年 2022年
◆受験年齢 13歳
◆日本語学習歴 補習校6年修了/オンラインレッスン
◆GCSEスコア グレード9
これからGCSE受験を検討されている方、海外での日本語教育に悩んでいる方の参考にしていただければ幸いです。
2023年6月12日(月) Listening and Understanding (Paper1)
Reading and Understanding(Paper3)
2023年6月19日(月) Writing (Paper 4)
2023年4月17日~5月19日 Speaking (Paper2)※この期間に各自で行う。
※変更等の場合もありますので、最新情報は各自ホームページにてこちらからご確認ください。
1.受験までのタイムスケジュール
ーどのようなタイムスケジュールで受験しましたか?
2022年1月頃に学校にメールで申し込みをしました。3月終わりぐらいにやっと学校から連絡がきて、スピーキング担当の先生と学校の先生とメールで打ち合わせができたのがイースター明けの4月中旬でした。
スケジュールは、最初がスピーキングで4月19日、リスニング、リーディングは6月10日、ライティングは6月20日でした。
ーどうやってスピーキングテストの試験官を探しましたか?
私の学校では自分で手配しないといけなかったので、お母さんの知り合いの日本語教師の先生にお願いしました。
2.GCSE試験について
(1)スピーキングテスト
ースピーキングのためにどのような準備や練習をしましたか?
Kazahanaではグループでオンラインレッスンを週に一度受けていましたが、その他、プライベートでスピーキングをメインで練習をしていました。試験が近づいてからは、一度対面で練習をして、その様子をモバイルに録音して聞いてみて、どこができていないかを確認しました。
ー試験までにやっておいてよかったことはどんなことですか?
事前にタスク3の題を選んで決めておいてそれを繰り返して覚えたことで、自信を持って心配なくテストを受けられました。あと、試験直前には、練習で3分測って録音し、聞き直してみたりした。実際に測って聞いてみると間違いにも気づくのでよかったと思います。
ー当日、スピーキングテストはどのように行いましたか?
打ち合わせでは、試験官、スピーキングテストの先生、私の3人の予定でしたが、当日試験官の先生がミーティングで不在だったので、スピーキングの先生と私で試験をして、それを録音しました
ーテストの内容はどうでしたか?
TaskはTask1のロールプレイで会話をする、 Task2は絵を見て回答する、Task3は自分の選んだテーマについて話す という3つのパートに分かれていました。
Task2のPicture Basedの問題は「School life」がテーマでした。男女の青い制服を着た二人の生徒が、机の上でノートに何かを書いていて、その後ろで男の先生が本を読んでいるという写真です。質問は、①この写真について述べよ。②この制服についてどう思いますか、というものでした。
Task3のConversationのテーマは「Future aspirations 将来の夢について」。
事前に模範問題を読み込んでタスクを選んで決めておき、インテリアデザイナーになることを作文に書いてそれを先生と何度も練習して覚えました。試験は特に難しくはなく、質問にも大体全部答えられましたが、もう少しいろいろと話せたら良かったなと思っています。
スピーキングのテスト期間は4月~5月の間で、各自行い、それぞれのが学校で異なるので、事前に学校の先生に相談しましょう。
また、話す内容は事前に傾向をつかんで準備が可能なので、この質問がきたらこの回答をしようということをあらかじめ考えておきましょう。
(2)ライティングテスト
ライティング問題はオンラインレッスンの宿題で、毎週過去問題をやっていました。実際に受けてみて、テーマや内容も過去問に似ていたので『前にみたことがあるな』と思って解答しやすかったです。間違えた漢字を書くよりは、ひらがなで書いてもよいというアドバイスも受けていたので、参考になりました。
スピーキング以外の3科目(リーディング、ライティング、リスニング)は全英統一で6月に2日にわたって同時に行われます。
過去問題を解くのがよい練習になるので、がんばりましょう!
(3)リスニングテスト
リスニングの時は、音声が聞き取りづらくテンポも速かったので、私にとっては一番難しかったです。
(4)リーディングテスト
内容はそれほど難しくなかったのですが、それぞれの問題のインストラクションがちがうので、きちんと読んでから回答した方がいいと思います。
過去問は、2017年に改訂されたものを、Pearsonのこちらのページからダウンロードできます。
KAZAHANAでは、さらに古い過去問なども取り上げて練習します。
(5)GCSEを受験してみて
初めてのGCSEだったので、緊張しましたが、補習校も6年間行っていたし、大丈夫かなと思っていました。Year10で他の科目を受験するときに楽だと思って早めに受けることにしましたが、終わって今、ほっとしています。
ーこれからGCSEの日本語を受験する人にアドバイスはありますか?
GCSEを受験する前には、自分だけでやるのではなく、レッスンを受けて先生と一緒に勉強することをおすすめします。答えるポイントが分かったり、過去問を一緒にやったりするのが、試験でとても役に立ちました。日本語を勉強するのは大変だったけれど、今になってみると日本語ができればいろいろなことを知れたり、選択肢が広がるので、頑張って続けてきて本当に良かったと思います。
4.日本語学習について
ー補習校の勉強で大変なことは何でしたか?
小学校3年生ぐらいから一気に難しくなって、宿題も多くて大変でした。泣きながら勉強したこともあったけれど、それでもGCSEを受けたいと思って頑張りました。
ー日本語を勉強してきて、よかったことはどんなことですか?
日本の家族と日本語で話ができる事です。あとは、お母さんと一緒に日本のドラマを見たり、音楽を聴いたりして、それが日本語でわかるのは楽しいです。
ーオンラインレッスンのどのようなところが好きですか?
いろいろな日本のニュースを読んだり、日本のことを知るのが楽しいし、動画などでいろいろな景色が見れるのもいいです。毎週教えてくれる日本の流行の歌もおもしろくて好きです。
ーこれからしてみたい日本語の勉強はありますか?また将来してみたいことはありますか?
もっと日本の面白い食べ物や文化、歴史などを勉強してみたいです。これからも日本語の勉強を続けて、Aレベルもチャレンジできたらいいなと思っています。将来は、もし日本で仕事するチャンスがあればしてみたいです。
とっても頑張り屋さんで、大変な時期もあきらめずに続けてきたことが、今につながっているのだなあと感じました。これからもAレベルを目指して、楽しく日本語を続けていってくださいね!