海外から漢字検定9級受験 学習のヒント

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海外在住のバイリンガルキッズが日本語学習を続ける時、日本語が語学の科目として認められるイギリスのGCSEなどの他、学習の進捗確認やモチベーションの一つとなるのが漢字検定や日本語能力試験などの公のテスト。

今回、小学4年生の息子が9級を受験したので、その詳細や勉強方法についてシェアしたいと思います。

目次

1. 漢字検定概要

1.漢字検定とは

漢字検定は年に3回(6月、10月、2月)行われています。10級から5級までは、それぞれ小学1年から6年までの各学年で習う漢字に対応しているので、2月に受験すると、ほぼその学年の総まとめとなります。


ただ、海外在住で第二言語として日本語を勉強している子どもたちにとっては、実際の学年によらず10級、9級でも書き順や、とめはね、音訓読みが混ざっているので難易度は高いといえます。

それでも受験してみることでモチベーションや復習にもなりますし、合格すれば達成感も味わえるので、チャンスがあればぜひトライしてみると良いと思います。

2.海外から受験するには

海外からの団体受験は、団体受検用の会場として協会より承認を受けている以下の準会場で可能です。

その他、一定の要件を満たしていれば団体受験も可能です。ある程度受験者を集めることができる場合、以下をご参照ください。

2.9級の出題内容と合格基準

9級の出題レベルとしては小学校2年生修了程度が目安です。小学4年生の息子は補習校でも勉強しているので、2年生ぐらいであれば大丈夫だろうと考えていましたが、それがなかなか手強いのが漢字検定。


漢字の書き順(何画目に書くか)、止め、ハネ、はらいなどの書き方、音訓読みに至っては後述しますが、日本の物事自体になじみがないこともあり、かなり苦戦しました。

9級 内容の内訳

□ 書き50点
□ 読み:22点
□ 同じ部首の漢字:20点
□ 反対語・対応語:20点
□ 筆順:10点
□ 読みがなの書き足し:8点
□ 形のよく似た漢字:6点
□ はね・とめ:4点

10級から8級までは150点満点。合格基準は全体の約80%、120点です。

2.漢字検定に向けた勉強方法

まず1冊の問題を、繰り返し解いてみましょう。できていなかったところをピックアップして、集中的に覚えることが合格への近道です。9級ではまだ範囲もそこまで広くないので、繰り返し学習すれば必ず覚えられます!

1.過去問をくりかえし解く

まずは過去問を入手しましょう。公式のサイトで2021年度の問題例がPDFでダウンロードできるので、まずはそれをやってみること。

その他、練習問題を出されているブログを探したり、可能であれば1冊は漢字検定用の参考書を購入して、繰り返し解くことが大事です。どの参考書も基本は同じなので、やりやすいものを選ぶとよいでしょう。

基本をステップで学習できる問題集。まずはしっかりとできない漢字を洗い出しましょう。

一日10分で、一〇(いちまる)。「とりあえず10分がんばろう!」毎日の習慣づけにぴったりです。

問題に「見慣れる」ことも大事な練習。ある程度基本をくりかえしたら、本番そっくりの形式で慣れておくとよいですね。

2.間違えた漢字を集中的に繰り返し復習する。

過去問を解いた後、できていなかった漢字を以下の3つのやり方で繰り返し復習します。

1.ノートに書き出して読みがなを書き、3回漢字練習をする。

まず間違えた漢字を書き、そのフリガナも自分で書かせます。その下に3回ずつ練習をします。これは書きためておいて時間があるときや、私はゲームやテレビを見る時間の前に1ぺージ漢字をやったら見てもよい、など交換条件のツール(?)に使います。

ふだんはなかなか椅子に座るところからバトルですが、交換条件にするとさっとやってくれるので、この方法は重宝しています。

2.単語カード作って、繰り返し使う。

古典的なやり方ですが、漢字カードを作って、車や移動のすきま時間にクイズ感覚でやるのがおすすめです。できたものから外していけば、どんどん少なくなっていくのが目に見えてわかるので、達成感も味わえますし、なにより繰り返し見慣れることで、確実に覚えられます。

日本で一般的なリングのついた単語カードは、ドイツでなかなか見つけることができなかったので、日本から買って送ってもらいました。小さいモノなので一時帰国の際にまとめ買いしておくのもいいかもしれません。

この単語カードはバンドがついていて、カバンの中でもバラバラせず、小さい気遣いがさすが日本製!でした。

3.目につくところに貼る。

海外在住で日本語を普段の生活で見慣れていないことは、インプットの少なさで圧倒的に不利なのですが、だからこそ意図的にそのチャンスをつくることが大事です。

こちらも古典的なやり方ですが、紙に書いて目につくところに貼る、というのも効果的です。

3.9級で気をつけたい漢字

1.季節に関するもの

季節に関係する言葉、立春、初夏、などは海外に住んでいると特になじみがなく、覚えるのが難しいのですが、9級からすでに用語が良く出ます。以下の覚え方をヒントにしてみてください。

1.まず、「春夏秋冬(しゅんかしゅうとう)」という言葉を覚える。
2.立(りつ)+春夏秋冬→立春、立夏、立秋、立冬
3.初(しょ)+春夏秋冬→初春、初夏、初秋、初冬
4.分(ぶん)+春秋→春分の日、秋分の日
5.早(そう)+春→早春

2.色に関するもの

覚えているようですぐに忘れてしまう「色」。繰り返し復習することで覚えました。

特に「」「」は線の出る出ないがまちがいやすいので、気をつけましょう。

3.時 に関するもの

朝(ちょう)昼(ちゅう)夜(や)・夕(ゆう)  
朝食(ちょうしょく)、昼食(ちゅうしょく)、夕食(ゆうしょく)、夜食(やしょく)

朝昼夜+食 で朝食、昼食、夜食になりますが、ばんごはんは「夕食」その後に食べるのは「夜食」
昔の時間設定になっていますね。まちがえやすいので注意しましょう。

※その他 朝(ちょう)の付く言葉には「早朝(そうちょう)」があります。

今、来、先の付く言葉
「今」は今のこと(現在)、「来」は次に来ること(未来)、「先」は先にあったこと(過去)と覚えましょう。

□今週、来週、先週
□今月、来月、先月


※似ているけれど一部違うもの
今年、来年、去年
今日、明日、昨日

4.東西南北

東西南北はなかなか覚えにくいので、春夏秋冬と同様、「とうざいなんぼく」という音を覚えましょう。

4.音訓読みが難しい漢字

音訓読みが難しいものがたくさん出てきます。9級の問題集からよく出るものを抜き出したので、同じ読みのものをまとめて覚えるとよいでしょう。

漢字音訓読み漢字例
みち道草
どう道路水道道具
ひかりをあびる
 こう光線日光
うた歌を歌う
 歌手校歌
うし
ぎゅう牛乳牛刀
かたな
とう日本刀牛刀ちょうこく刀
ただ(しい)正しいかん字
しょう正直正午
う(る)ものを売る
ばい売買売店
かぜ
かざ風上風下
ふう台風風雨風船
ひろ(い)広い土地
こう広大
だい土台台所
たい台風
かお顔色
がん顔面
あたま
頭上
とう二頭の馬
地図図工図画工作
図書館
おし(える)勉強を教える
きょう教科書教会教室
なお(す)つくえを直すす直
ちょく直線直角
あ(う)人に会う
かい会話会社
あたら(しい)新しいくつ
しん新聞紙新かんせん
あと後で行く
午後前後食後
のち後に話す
こう後半
い(く)図書館に行く
ぎょうをかえる
こう行進
まる(い)丸いボール
がんほう丸なげ
黄色
おう黄金
ひ(く)引き出し
いん引たいする
みやこ
都会東京都
そとに出る
がい外国外野
はず(れ)町外れ
ほそ(い)細い糸
さい細工
野原
野球野鳥
いわ岩山 
がん岩石
自分自信
みずか(ら)自ら話す
とお(い)遠くに行く
えん遠足ぼう遠きょう遠方
こう工場人工
細工大工さん
たの(しい)楽しい音楽
らく楽にすわる
がく音楽
かえ(る)帰る
帰京帰国 
あいだ間に入る
すき間間に合う
かん時間
げん人間
もと元にもどす
げん元気
ときがたつ
時間同時
時計
うみに行く
かい海水よく海外
くも白い
うん雲海
画家絵画画用紙
かく画数
とお(る)通る
つう一方通行交通一通
いろ色紙
しょく原色
と(まる)しんごうで止まる
中止
やしろ神社のお社
しゃ会社社会
しる(す)日記を記す
日記を書く新聞記者
ある(く)歩いていく
ほ/ぽさん歩歩道
はん半分後半前半
なか(ば)半ばでやめる
あ(たる)くじに当たる
とう当番当日
は(れる)今日は晴れ
せい晴天
まわ(る)三回回る
かい回数三回
こめ白い米
まい白米
くび首がいたい
しゅ首位
場所
じょう出場する運動場野球場
つく(る)ものを作る
動作作業

5.形が似ている(?)ように思える漢字

漢字は線が出る、出ない、一部がちがうだけのものも数多くあります。
子どもを見ていると思いがけない漢字を「似ている」と認識してしまうのだなあと驚くこともよくあります。特に普段生活の中で日本語を見慣れていない子供たちには、図形のように思えるようで、漢字の一部を見て間違えてしまうようです。

□ 新しい / 近い / 親 
□ 聞く  / 時間  / 問題
□ 語る  / 話す  / 読む / 記す
□ 頭  / 顔
□ 父  / 交
□ 雪  / 雲
□ 線  / 細  / 組  / 絵
□ 時  / 晴れる
□ 手  / 毛
□ 土  / 工
□ 人  / 入
□ 分  / 刀
□ 牛  / 午
□ 小  / 少
□ 歩  / 走
□ 会う / 合う
□ 姉  / 妹 
□ 鳥  / 馬
□ 体  / 休
□ 親  / 新 →親せき
□ 先  / 光
□ 大きい /太い
□ 角  /用

6.覚え方のヒント

覚えにくい漢字について、言葉の意味などから覚えるヒントをまとめました。

1.漢字の意味から覚える

漢字の意味から覚えるもの

□先頭  走っていて一番が来る人のこと。
□水道  がくる 

□ボスは長(ちょう)がつく→校長船長社長店長市長

□野原(や広い場所、アウトドア)でするものは野(や)→野球野鳥

□「入」 なにかに入ること → 入学入園入場入口

□「書」 書いてあるものを読む → 図書館 / 書店

2.間違えやすい漢字

本来持つ意味と、使われている漢字がちがったり、間違えやすいものに注意しましょう。

 □少年/少女
  「小さい子ども」の意味だけど、「小」ではなく「」を使う
 □細(ほそ)い細(こま)かい
  送りがなが「い」か「かい」で読み方も意味も変わる。

3.オリジナルの覚え方を考える

どうしても覚えにくいもの、毎回間違えるものについては、オリジナルの覚え方を考えてみるのもいいですね。
うちの息子はずっと「語る」を「ごる」と間違えていたので、ごる→ゴリラ という発想でこう覚えました。

「ゴリラが肩(かた)に語(かた)りかける」!!

意味はなくても、案外覚えているものなので、なんとかひねり出して考えてみるといいですね!

7.まとめ

ほぼ基本的な問題がでるので、覚えていない漢字を洗い出し、それを繰り返し練習しましょう。まずは基本をしっかり学習し、時間に余裕があれば、全体の1割ぐらいの難しい言葉を「暗記する」というふうにすればよいでしょう。

漢検を受験してみて、復習をするのにはとても効果的だったので、ぜひモチベーションアップに漢字力の定着におすすめです!

・「見慣れる・聞き慣れる・書き慣れる」こと。
・できるだけ毎日1ページでも続ける
・覚えにくいものは、語呂合わせなど特別な覚え方を編み出す!
・間違えた漢字をくりかえし練習する。
・単語カードを活用して、すきま時間に覚えよう!

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